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外交アジェンダ - 21世紀の米国の外交政策

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欧州・ユーラシア

米国国務省 ダニエル・フリード


ダニエル・フリード国務省欧州・ユーラシア局国務次官補

  私はこれまで30年近く、国内外で外交に関わる業務に従事してきたが、その間に、共通の民主主義の原則の上に立った米欧のパートナーシップこそが米国の外交政策の中心であることを学んだ。米国とヨーロッパは、共に自らの価値観をもって、冷戦中、自国を防衛し、最終的にその戦いを征し、ついにベルリンの壁崩壊後は、自由で平和なひとつのヨーロッパを構築することで、ヨーロッパ各地の人々が自らの自由への道を見つけることを支援した。私は、民主主義への転換という激しい変化の時期に、ソ連、ユーゴスラビア、およびポーランドに駐在し、こうしたことを目の当たりにした。われわれの共通の価値観、そして欧州・大西洋共同体内の自由、安全保障、ならびに繁栄は、世界の至るところにこうした価値観が普及してこそ実現されるものであるという、困難の末に得た知恵は、民主主義と自由を推し進め、紛争地域に平和をもたらし、そして世界全体の繁栄を促進するというわれわれの共通の目標実現の決意をより強めるものである。

  ヨーロッパと米国は、他の長期的パートナーシップと同様に、時には意見の相違を見たが、それは、米欧を結び付けている価値観や共通の関心事に比べれば、二義的なことである。北大西洋条約機構(NATO)は、これまでどおり、両者の主要な安全保障同盟である。また米国の多国間パートナーシップのうち最も結び付きの強いものの多くは、欧州連合、欧州安全保障協力機構(OSCE)、および経済協力開発機構(OECD)といった、ヨーロッパを中心としたものである。

  共通の価値観を有することによって、ヨーロッパと米国のパートナーシップは、今後、新たな課題に直面していく中で、確実に、より強力なものとなっていく。20世紀に起こった国際的に重要な問題の多くは、基本的にヨーロッパの政治・経済体制に関わるものであった。しかしながら、9月11日の事件以降、世界のよりさまざまな地域で自由が存続し拡大できるかということが、新たな課題となっている。

  その結果として、現在、欧州・大西洋のパートナー諸国は、共同で、世界各地の紛争地域で活動を進めている。

2006年7月、ベルギーのブリュッセルにあるNATO本部で記者会見に臨むヤープ・デ・ホープ・スケッフェルNATO事務総長(右)とズラブ・ノガイデリ・グルジア首相。©AP Images

拡大中東・北アフリカ(BMENA)

  世界の民主主義諸国は、あまりに長い間、拡大中東・北アフリカ地域の停滞した非民主的な状況を受け入れてきた。われわれが望む安定はもたらされることはなく、その代わりに、権威主義や国家の機能不全が、敵対的、非民主的イデオロギーを生み、世界における不安定要素を拡大した。米国のこの地域における長期的な利害は、この地域における自由と正義の発展、ならびに実際に機能する市場経済の普及にかかっている。われわれは、短期的な問題点について、現実的な認識を持たなければならない。しかしながら、中・長期的目標については、大胆でなければならない。

  ヨーロッパと米国は、民主的な中東というビジョンを共有している。われわれは、協力して、中東で改革推進派を強化する計画に着手した。「未来フォーラム」は、拡大中東・北アフリカ地域諸国と、G8(金融・産業先進)各国の官民の代表が一堂に会し、話し合いを持つ場である。このフォーラムの後援で新たに設立された2つの機関は、民主主義と繁栄の土台となる市民社会体制の強化を図るものである。ライス長官が述べたとおり、「未来のための財団」は、「現地の改革を進める人々が自分たちの考えや理想に基づき、民主主義の発展を支える草の根組織を育てていくことを目指したものである。この財団は、市民社会が法の支配を強化することを援助し、基本的人権を擁護し、健康や教育の機会を確実に増加させるための助成金を提供するものである」

  さらにこの財団と共に設立されたもうひとつの「未来基金」は、経済成長と雇用創出を促進することを目的とするものである。この基金は、初期資金の拠出をエジプト、モロッコ、デンマーク、および米国が行い、有望な中小企業に対し、雇用の創出と経済成長の加速に必要な資金を提供する。ライス長官は、こうした資金について、「さらなる民主化と経済改革がこの地域に不可欠であるという、新たな国際的コンセンサス」を反映するものであるとしている。

  米国、欧州連合、ロシア、ならびに国連は、イスラエル・パレスチナ紛争について、2国家共存への解決策を探るべく努力を重ねている。われわれは、パレスチナ指導者層に対し、テロ行為には断固たる態度で臨み、イスラエル存続の権利を認め、パレスチナの国際公約を果たし、そして寛容と自由に基づいた、機能する民主主義を樹立するよう強く求めている。さらにイスラエルに対しては、パレスチナ人が民主主義と法の支配に根ざした国家を設立し、イスラエルとの平和と安全保障を確保できるよう支援するための役割を果たすことを求めている。

  アフガニスタンについては、米国とヨーロッパのパートナーシップが、今もテロリストからの圧力にさらされている同国の急速な歴史的変革に対し、極めて重要な支援を提供している。NATO軍は、同国全域で規模を拡大し、長期にわたって苦しんできた同国民に、安全と発展の可能性をもたらしている。対テロ戦争における米欧の協力関係は、その第1歩として、かつてアルカイダの本拠であったアフガニスタンに対し、国内の、そして近隣諸国との平和を保つ、民主的で豊かな国家を樹立する機会を与える努力を行っている。

  米国は、「EU3国」(フランス、英国、ドイツ)と緊密に協力し、イラン政府に対し、国際社会との協力、および核兵器開発の放棄を行うよう説得している。イランにおける民主化の進展により、同国が地域ならびに世界のより良い、そしてより責任あるパートナーとなり得ることから、米国とヨーロッパは、イラン国民および社会に援助の手を差し伸べていく決意を共有している。

  ヨーロッパと米国は、イラクで民主的選挙によって新たに選出された政府と、その政府がイラク国民に安全、繁栄、および永続する民主主義をもたらそうとする努力を支持する。サダム・フセインを権力の座から排除する決断に関し、一部のヨーロッパの国々との間に生じた相違も過去のものとなった。イラクにおける成功はわれわれの共通の関心事であり、中東の中心における自由の進展の基盤となる。

  イスラエル・レバノン関係については、米国とヨーロッパは協力して、早急に紛争を終結し、両国間の問題を永続的に解決する環境を構築するための努力をしている。そのひとつとして、ヒズボラが今後勝手にイスラエルを攻撃することを許さないことが挙げられる。われわれは、レバノンが完全に主権を有し、他国の支配や他国の軍隊の介入を受けず、イスラエルと平和関係を築き、安全な生活を確保することを望んでいる。

若い民主主義国家

建設費40億ドルの1600キロメートルに及ぶバクー・トビリシ・ジェイハン(BTC)パイプライン。写真は2005年2月に建設中のものであるが、パイプラインは同年5月、正式に開通した。このパイプラインは、アゼルバイジャンからグルジアを通過し、トルコの地中海岸まで石油を輸送する。米国はこの地域の経済的独立を推進するためにパイプラインを建設した官民パートナーシップを支援した。 ©AP Images

  米国とヨーロッパは協力して、ウクライナとグルジアの、生まれて間もない、まだ脆弱な民主主義を支援している。ウクライナのオレンジ革命およびグルジアのバラ革命は、自由を求める世界中の人々を強く動かした。われわれは「自由のフロンティア」に沿った、ウクライナ、グルジア、および他の国々の国民が、自ら勝ち取った民主化の進展をさらに強化することを援助することを確約している。ベラルーシでは、不当なルカシェンコ政権によって言論の自由が抑圧され、民主主義の発展を求める人々が弾圧を受けてきたが、米国は欧州連合と慎重に協力して、圧力をかけている。ルカシェンコがヨーロッパにおける最後の独裁政権を維持することを手助けしている一団を標的とした渡航禁止や金融制裁が行われている。われわれは今後もベラルーシの国民に対する援助を継続していく。

  米国とヨーロッパは、ロシアが活発な市場志向型民主主義国家へ発展していくことを支持し、世界規模の安全保障、平和および繁栄の推進に向けて、同国とのパートナーシップを深めることを目指している。われわれはロシアと協力し、核不拡散、テロリズムの根絶、および健康衛生の増進をはじめとする共通の利益の追求に努めていく。しかしそれと同時に、われわれは、ロシアのエネルギー資源利用における一部の状況など、ロシアの民主化に伴う憂慮すべき傾向や、同国の一部の近隣諸国へのアプローチに対して、懸念を抱いている。

  米国は、ヨーロッパと共に、この地域において最後に残された重大な問題、すなわちコソボの最終的な状況の解決に当たっている。この取り組みの一環として、われわれはこの地域のすべての国々、特にセルビアに働きかけ、欧州・大西洋機構への参画を呼びかける計画である。

  また、米国とそのヨーロッパにおける同盟国は一致協力して、南スーダンにおける最終的平和協定の締結に向けた努力をしている。われわれは、同国のダルフールにおける殺りくに終止符を打つ決意を固め、国連、NATO、欧州連合、およびアフリカ連合と共に、暴力の廃止に向けて、早急に行動を起こすための努力をしている。

安全保障と平和

  米国とヨーロッパは、これまで数十年間にわたり大西洋共同体が体験してきた平和を世界各地にもたらすべく協力をしている。

  NATOは米国にとって最優先の同盟として、北米とヨーロッパを戦略的に結び付けるものであり、大西洋民主主義共同体の安全保障の中核となる機構である。ヨーロッパ、カナダ、および米国は協力して、NATOが21世紀の課題に対処できる組織となるよう変革作業を行っている。1994年初頭において、NATOは16カ国の軍事連合であり、もはや存在しないソ連に対抗することを主な目的とした機構であり、それまでに軍事行動を実行したことはなかった。しかし、2004年までには、NATOは、ユーラシア、地中海、およびペルシャ湾岸に及ぶ26の加盟国、および31のパートナーシップを有するまでになった。NATOは、バルカン諸国からアフガニスタンまで、同時に8つの軍事活動に従事し、人道支援から安定化事業に及ぶさまざまな活動を行っていた。NATOは、実際に活動する同盟となっている。

  われわれは日々ヨーロッパのパートナー諸国と共に、対テロリスト活動の強化に努め、また共同で、他の国々がテロリストに対抗する能力を向上させるための援助を行っている。われわれの協力は、情報および秘密情報の共有、テロ組織の解体、テロリストを支援する組織や体制の活動阻止、および資金洗浄防止活動の実施にまで広がっている。

米国議会の主導による重爆撃機廃棄プログラムでは、第1次戦略兵器削減条約および欧州通常兵器削減条約に基づき、ウクライナの戦略的核兵器備蓄を廃棄するため、同国に6億5,000万ドルを上回る資金を提供した。写真のTu-22MSバックファイアー爆撃機は、このプログラムの一環として廃棄される。 © AP Images

  米国とヨーロッパが直面する最も深刻な危険は、テロリストとその支援者が大量破壊兵器を入手する可能性である。米国とヨーロッパは、世界的な大量破壊兵器拡散防止構想の下で、他の国々と共に、大量破壊兵器、その発射装置、および関連物資の譲渡あるいは輸送の阻止を効果的に行う手段を行使することに合意している。

  米国とヨーロッパは、法執行に関する協力関係を着実に深めてきた。両者は協力して、人身売買、麻薬流通、不法出入国、および金融犯罪などの組織犯罪と戦っている。

  米国とヨーロッパは、市場開放、安定し信頼できる金融システム、および世界経済の統合を目指した活動を通じ、地球規模の繁栄を推進している。貿易障壁の削減を目的とした世界貿易機関のドーハ・ラウンド、あるいは経済効果の増大に向けた米国とEUの共同構想のいずれによっても、米国とヨーロッパは両サイドの国民や他国の国民に新たな機会を創出し、貧困を緩和し、世界中の何億もの人々に希望、尊厳、そして進歩をもたらすことを目指している。

  米国と欧州連合は、それぞれが相互の最大の貿易および投資パートナーである。双方を合わせると、その経済は、世界のGDPの半分以上を、また世界貿易の3分の1を占め、その年間商業売上高はおよそ2兆5000億ドルに達している。また雇用は、合わせて1200万~1400万人と推定されている。

  現在米欧は、鳥インフルエンザの拡大を防止するために、国際的な関与戦略の構築に取り組んでいる。この中で強調されているのは、流行に備えての準備、予防、および封じ込めである。さらに米国とヨーロッパは、人道的理由とともに、HIV・エイズが世界各地の繁栄、安定、ならびに発展への脅威となるとの理由で、HIV・エイズとの闘いを最優先課題としている。1986年以降、米国国際開発庁(USAID)は、他のいかなる官民の機関より多い、およそ60億ドルの資金を、世界の100近い国々におけるエイズ・ウィルスとの闘いのために提供してきた。

  米国はヨーロッパのパートナー諸国との緊密な協力の下で、エネルギー安全保障の拡大に向けて努力している。両者の合意に基づく原則および目標としては、エネルギー供給源の多様化、投資家への透明性と公開性の提供、新技術の開発、および効率的エネルギー消費の促進などがある。

  エネルギーの発見、獲得、および消費は、自然環境の責任ある管理と切り離せない関係にある。2006年にウィーンで開催された米国・EU首脳会議では、双方が共に気候変動、生物多様性の喪失、および大気汚染の問題に協力して取り組んでいくことで合意した。

結論

  ヨーロッパと米国は、かつてないほど、緊密かつ効果的な関係を築いている。両者の間には利害の不一致や戦略のずれがある、あるいは当初から対立関係が存在しているとさえする、懐疑的な意見もあるものの、こうした見方は、共通の価値観、共通の目的、そして共通のビジョンを基盤とする緊密な政策協力という現実の前には、打ち消されるものである。ヨーロッパと米国は、共に世界をより自由に、より安全に、そしてより豊かにするとの決意の下で行動する同盟関係を築いている。


詳しくは下記を参照:

http://www.state.gov/p/eur/

http://usinfo.state.gov/eur/





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