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FAQs
選挙人団に関するFAQ


「選挙人」、「選挙人団」という言葉はどのようにして使われるようになったのか?

「選挙人団」(electoral college)という言葉は合衆国憲法には記載されていない。合衆国憲法第2条と修正第12条は「選挙人」(electors) について言及しているが、「選挙人団」については言及していない。フェデラリスト第68編で、アレクサンダー・ハミルトンが大統領を選ぶ過程について、「各州の人たちが一団の選挙人を選ぶこと」と述べているが「選挙人団」という言葉は使っていない。

建国者たちは選挙人の概念を神聖ローマ帝国(962-1806)からとった。選挙人は、神聖ローマ帝国内の様々なドイツ国家にいる大勢の王子たちの1人であり、ドイツの王(通常は皇帝)を決める選挙に参加する権利があった。ラテン語に由来する「College」(団体)という言葉は、例えば、ローマ法王に助言する、あるいは法王選挙で投票する枢機卿団(college of cardinals)のように、1つの単位として働く集団のことを指す。1800年代の前半、「選挙人団」という言葉は大統領、副大統領に投票するために選ばれた市民グループに対する非公式な名称として一般に使われ始めた。1845年に連邦法に初めてこの言葉が用いられ、今日では合衆国法律集第3編第4節(3 USC Section 4)の見出しと本文に「選挙人団」(college of electors)が記載されている。

誰が選挙人を選ぶのか?

選挙人の選出方式は、州によって異なる。通常は、各政党が州の党大会で選挙人を指名するか、各州の党中央委員会の投票で選出する。所属政党における実績と貢献を認められて選挙人に選ばれる場合が多い。例えば、州の選出公職者、党指導者、あるいは大統領候補と個人的または政治的につながりのある者などが選挙人に選ばれている。各州の有権者は、一般選挙の日に選挙人を選出する。州によって方式は異なるが、投票用紙の大統領候補の名前の下に、選挙人の名前が記載される場合もある。

 

選挙人にはどのような資格が要求されるのか?

合衆国憲法には、選挙人の資格に関する規定はほとんどない。第2条第1節第2項に、連邦議会の上院議員、下院議員、あるいは合衆国政府の下で信任あるいは報酬を受ける官職にある者を選挙人に指名してはならない、と規定されている。歴史的にみると、修正第14条の規定により、合衆国に対する反逆または反乱に関わったり、合衆国の敵を援助したことのある州公職者は、選挙人となる資格を取り上げられる。この禁止規定は、南北戦争後に定められた。一般に、選挙人資格を確立するには、州の「確認証明書」で選挙人が認証されればよい。

 

選挙人団はどのようにして大統領を選出するのか?

選挙人団制度の概要

選挙人団制度は、連邦議会による大統領選出方式と一般投票による大統領選出方式との折衷案として、米国建国の父祖が設立した制度である。選挙人団は、11月の第1月曜日の直後の火曜日に(2004年の場合は11月2日)、各州およびコロンビア特別区で一般投票によって選出される。選挙人団は、選挙人538人から成る(連邦議会下院議員435人および上院議員100人の1人につき選挙人1人ずつ、そして合衆国憲法修正第23条に基づきコロンビア特別区で3人の選挙人が割り当てられる)。各州の選挙人数は、当該州の下院議員数と上院議員数2人との合計である。2000年に行なわれた国勢調査に基づき、各州の選挙人数が調整される。

通常、各政党が選挙人候補者名簿を作成する。選挙人の指名に関する法律は、州によって異なる。各州は、確認証明書で、一般投票で最多票を得た候補者を支持する選挙人の名簿を作成する。各州知事は、確認証明書の原本を7通作成する。各州は、原本1通を、真正証明付の謄本2通または原本2通と共に、NARA*長官へ書留郵便で送付する。これは、出来るだけ早く、少なくとも選挙人集会の次の日、つまり12月の第2水曜日後の月曜日(2004年の場合は12月13日)の次の日までに受領されなければならない。NARA長官は、原本をNARAの官報室(OFR)へ送付する。OFRは、上下両院に謄本各1通を送付し、原本を保管する。

選挙人は、12月の第2水曜日後の最初の月曜日(2004年の場合は12月13日)に各州で集会を開く。大統領と副大統領の選出には、選挙人票の過半数である270票が必要とされる。選挙人が、当該州の一般投票の結果に沿って投票することを義務付ける合衆国憲法あるいは連邦法の規定はない。

選挙人は、「投票証明書」の原本6通を作成し、1通ごとに確認証明書を添付する。各投票証明書には、大統領としての票を獲得した候補全員の氏名、および各候補に投票した選挙人の人数が記載され、別途副大統領としての票を獲得した候補全員の氏名、および各候補に投票した選挙人の人数が記載される。

どの大統領候補も選挙人票の過半数を獲得できなかった場合には、合衆国憲法修正第12条の規定により、連邦議会下院によって、大統領が選任される。下院は、選挙人による投票で最多票を得た候補3人の中から、多数票により大統領を選出する。投票は州単位で行われ、各州の議員団がそれぞれ1票を投じる。どの副大統領候補も選挙人票の過半数を獲得できなかった場合には、上院が多数票で副大統領を選出する。各上院議員が、選挙人の投票で最多票を得た候補2人の中から1人を選ぶ。

選挙人団制度の手順概要は次の通りである。

選挙人団による主な活動

それぞれの州では、どのようにして選挙人団を選出するのか?

それぞれの州での選挙人団選出の情報は、各州の州務長官のオフィスで得られる。たとえば、マサチューセッツ州州務長官のホームページには、「マサチューセッツ州の選挙人団のすべて」というぺージがある。

各州の州務長官については、「米国州務長官協会」を参照するとよい。

 

選挙人団制度では、大統領と副大統領に対する有権者の1票が意味を持つのか?

各州の有権者の1票は大きな意味を持つ。選挙人団制度の下では、大統領、副大統領は全国的な直接投票で選出されるわけではない。大統領選挙の結果は、51州の選挙結果の総合によって決まる(ここではコロンビア特別区も「州」とみなす)。有権者の1票は、その州の選挙人が投票する候補の決定に貢献する。選挙人が一般投票の結果を無視する可能性はあるが、現実にはそれは極めてまれなことである。

米国の建国者は、各州と連邦政府が権限を分かち合うための構想の一環として、選挙人団制度を考案した。合衆国憲法で採用された連邦制度の下では、全国的な一般投票は、法的には意味を持たない。したがって、州の選挙に基づく選挙人による投票結果が、全国的な一般投票の結果と異なることもあり得る。それでも、個々の市民の1票は、各州の選挙結果に重要な意味を持つ。

選挙人は、その州の一般投票で勝った候補に投票することが義務付けられているのか?

各州の選挙人がその州の一般投票の結果に沿って投票することを義務付ける合衆国憲法の規定あるいは連邦法は存在しない。しかし一部の州では、選挙人が一般投票の結果に沿って投票することを義務付けている。これには、選挙人が州法によって拘束される場合と、政党への誓約によって拘束される場合とがある。

どの州が一般投票の結果に沿って投票することを義務付けているかは、「州法および誓約によって拘束される選挙人」を参照すればよい。

連邦最高裁判所の判断によると、合衆国憲法では、選挙人が完全に自由な選択の下で行動できることが定められてはいないため、政党は選挙人に、その政党の指名した候補者に投票することを誓約させることができる。州によっては、州法で、いわゆる「不実な選挙人」には罰金を科したり、無効な票を投じた選挙人の資格を剥奪し、代わりの選挙人を指名できることを定めている。こうした誓約、あるいは誓約に従った投票をしなかった場合の罰則を、合衆国憲法の下で執行できるのかどうかという問題については、連邦最高裁判所は具体的な判断を下していない。これまでに、選挙人が誓約通りに投票しなかったために起訴された例は1件もない。

今日、選挙人が一般投票の結果を無視して、所属政党の候補以外の候補に投票することはまれである。通常、選挙人は政党の指導的な立場にあるか、または政党への長年の忠実な貢献によって選挙人に選ばれる場合が多い。国家としての米国の歴史を通じて、選挙人の99%以上が、誓約通りに投票している。

 

なぜ選挙人投票の結果と全国的な一般投票の結果が異なる可能性があるのか?

大統領は全国的な一般投票で選出されるのではないという点を忘れないことが重要である。勝者を決めるのは、全国の一般投票における統計上の相対多数票あるいは過半数票ではなく、選挙人による投票の結果である。選挙人獲得数は、各州の一般投票の結果によって決まる。

50州中48州、およびコロンビア特別区が、選挙人票の獲得において勝者独占方式を採用している。例えば、カリフォルニア州の選挙人総数は55であるが、同州の一般選挙の勝者は、たとえ得票率が50.1%対49.9%の僅差であっても、55の選挙人票のすべてを獲得する。

1824年に実際にあったように、特定地域で人気の高い有力候補が多数いる場合には、全国的な一般投票で最多票を得た候補が、必ずしも選挙人票の過半数を獲得しない可能性も十分ある。有力候補が2人の場合には、その可能性は低くなるが、1876年のヘイズ対ティルデン、1888年のハリソン対クリーブランドの選挙戦では、各州の選挙での得票数と全国での得票総数との差によって、こうした状況が発生した。これは、2000年の大統領選でも起きた。ジョージ・W・ブッシュはアルバート・ゴアよりも一般投票では少ない得票数であったにもかかわらず、選挙人票の過半数を獲得したのである。

 

なぜ現在も選挙人団制度を採用しているのか?

選挙人団制度は、合衆国憲法の当初の構想の一部である。この制度を変えるには、憲法修正条項の追加が必要である。

修正第12条、投票権の拡大、そして各州の選挙人選出手段としての一般投票の採用によって、選挙人団選出のプロセスが大きく変化した。

これまでに、全国的な国民直接投票方式を採用する案など、大統領選挙制度を変える各種の提案がなされているが、議会を通過し各州による承認の段階に至ったものは1つもない。憲法修正の最も一般的な方法としては、修正案が上下両院の3分の2によって提案され、全米の州の4分の3によって承認されなければならない。

 

選挙人団制度を変えるために過去にどのような提案がなされたのか?団制度を変えるために過去にどのような提案がされたのか?

参考資料によると、過去200年にわたり、選挙人団制度を改革または廃止するという700件以上の提案が議会に提出されている。憲法修正の他の項目のどれよりも多く、選挙人団変革の提案がなされている。米国弁護士協会は、選挙人団を「時代遅れ」で「不明瞭」だと批判している。1987年に行われた調査では、69%の弁護士が選挙人団を廃止すべきだと答えた。しかし、政治学者を対象とした調査は選挙人団の存続を支持している。世論調査では、1967年には58%の人が選挙人団の廃止を支持、1968年には81%、1981年には75%の人が廃止を支持している。

選挙人団制度の存続に関する意見は、第3政党に対する態度によっても影響される。選挙人団制度では、第3政党はうまく機能しない。地域の問題を争点にして戦った1948年のサーモンド知事、1968年のウォーレス知事は、ともに南部地域での選挙人票を獲得し、選挙結果に影響を与えたが、大政党の候補者を脅かすまでには至らなかった。第3政党・小政党から出馬しながら善戦した最後の大統領候補者が1912年のセオドア・ルーズベルトである。ブルムース党としても知られる革新党のルーズベルトは、選挙人票、一般投票ともにかなりの差をつけられて2位となったものの、勝利に必要な266票の選挙人票のうち、88票を獲得した。1992年のロス・ペローは、一般投票で全米の19%の票を獲得したが、選挙人票はどの州でも獲得できなかった。これはペローへの支持が特に強い州がなかったからである。一般投票に過半数や相対多数で勝つ候補は、選挙人票でも勝つ可能性は多いにあるが、保証はない。(1824年、1876年、1888年の選挙結果を参照)

 

538の選挙人票は各州にどのように割り当てられるのか?

各州の選挙人票数は、その州から選出される連邦議会上下両院議員の合計数と同じである。各州の選挙人票割当数は、10年ごとに国勢調査の結果に基づいて変わる可能性がある。

国勢調査の主な機能の1つは、最新の州人口に基づいて435人の下院議員定数を各州に割り当てることである。下院議員の定数によって、各州の選挙人数が決まる。選挙人団制度では、各州の選挙人数は、その州の下院議員数と上院議員数2人との合計数である。

 合衆国憲法により、各州に上院議員2人、および下院議員1人以上の定数が割り当てられているため、どの州も少なくとも3人の選挙人を持つ。各州の選挙人計535人に加えて、コロンビア特別区にも選挙人3人が割り当てられる。これは、合衆国憲法修正第23条により、同特別区には最も人口の少ない州と同数の選挙人数が与えられるためである。

ある州で下院議員選挙区が1区増加または減少すれば、その州の選挙人数も1人増加または減少する。2000年に行われた国勢調査の結果、2004年の選挙における州の選挙人数が変更された。「1990年と2000年の国勢調査に基づく各州の選挙人票数の割り当て」参照。

 

「勝者独占方式」と「比例割当方式」はどう違うのか? どの州がどちらの方式を採用しているのか?

48州が、選挙人団獲得における勝者独占方式を採用している。これらの州では、一般投票で過半数を得た候補、あるいは相対多数(半数に満たないが他の候補者より多数の票)を得た候補が、その州の選挙人票をすべて獲得する。

勝者独占方式を採用していないのは、ネブラスカとメーンの2州のみである。この2州では、州の比例割当方式に従って、選挙人票を各候補に割り当てることができる。例えば、メーン州の選挙人票数は4であり、下院議員選挙区が2区あるが、下院議員選挙区1区につき選挙人票1が割り当てられ、州全体を代表する選挙人票は2となる。候補Aが第1区で勝利を収めて選挙人票1を獲得し、候補Bが第2区で勝って選挙人票1を獲得し、第1・第2両区で僅差で2位となった候補Cが州全体を代表する選挙人票2を獲得する、という状況も考えられる。ただし、可能性はあるものの、最近の選挙で実際にこうした状況が発生したケースはない。

 

米国の海外領土(自治的未編入地域等)の市民は大統領選挙で投票できるのか?

できない。選挙人団制度は、プエルトリコ、グアム、バージン諸島、米国領サモア等の米国の海外領土(自治的未編入地域等)の住民に、米国の大統領選挙で投票する権利を与えていない。これらの領土の市民が、米国の州、またはコロンビア特別区に公的な居住資格を持っていて不在者投票を行うかまたは投票のためにその州に戻る以外は、大統領選挙には投票できない。また、合衆国憲法修正第23条の採択以前は、コロンビア特別区の住民も大統領選挙に投票できなかったことは注目すべきことである。

各政党は米国統治領での予備選挙の投票者に、党大会に出席する代表を選ぶ権利を与えてもよいが、それは選挙人団制度そのものには影響しない。

 

州の一般投票で、2候補の得票数が同数となった場合、あるいは投票結果に異議が出た場合はどうするのか?

小さな州においても、統計的には極めて低いが、同点の可能性は存在する。しかし、州の一般投票の結果が同点となった場合には、州法に基づいて、均衡を破る手続きが取られる。11月末または12月初めに再集計が終了し、州務長官が選挙結果を認証するまでは、同点は確定されない。連邦法は、決選投票を行うことを州に認めている。

投票結果が極めて小差である場合にも、決選投票あるいは法的措置によって勝者が決定されることがある。合衆国法律集第3編第5節(3 U.S.C. Section 5)に基づき、この点に関しては州法が適用され、選挙人の選出は州法によって最終的に決定される。上記の連邦法の規定によると、選挙人の選出に関する異議に対して決定を下す州法が存在する場合、そうした決定は、選挙人集会当日の6日前までに下されなければならないと定められている。

 

参考情報

「ザフェデラリスト」には、全85編が収録されており、ここで米国建国の父祖の選挙人団に対する視点を読み取ることができる。フェデラリスト第68編では、アレキサンダー・ハミルトンが書いた選挙人団についての構想を、フェデラリスト第10編ではジェームズ・マディソンによる共和制についての視点を知ることができる。

また、トーマスジェファーソンの政治と政府に関する著作の引用文のページを検索するとジェファーソンの大統領制に対する視点、特に1823年8月17日にジョージ・ヘイ(法学者、バージニア州東部の連邦判事、ジェファーソン側に立った優れた著述家でもあった)に宛てた手紙を見ることができる。

さらに参考資料には次のものがある。

 

* NARA (National Archives and Records Administration) は米国行政府内の独立機関で、「米国公文書・記録管理庁」のこと。日本語で「米国国立公文書館」と称されることが多い。

出典: 米国公文書・記録管理庁官報室作成資料 (Office of the Federal Register, National Archives and Records Administration; NARA)

 



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