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インターネットにおける「公正使用」:著作権の複写と公に展示する権利

2004年1月16日

米国議会調査局
ロビン・ジェウェラー
Robin Jeweler
Legislative Attorney
American Law Division

要約

当報告書は、ケリー対アリバ・ソフト・コーポレーション訴訟の要約である。この訴訟は、著作権法が示すインターネットにおける公共展示、複写および公正使用の権利の範囲をめぐる裁判である。第9巡回控訴裁判所は、著作権のあるコンテンツのサムネール(縮小された解像度の低い画像)に対して、著作権保持者の複写と展示の権利の侵害が認められるか否かを審理した。裁判所は、インターネットの画像検索エンジンにより表示されたサムネール複写は、著作権のあるコンテンツの「公正使用」の侵害には当たらないとの判断を示した。

  ケリー対アリバ・ソフト・コープ訴訟 ①は、第9巡回控訴裁判所が審理したインターネット上の著作権に関する重要な訴訟である。訴訟の中で、裁判所は、公正使用の権利対著作権保持者の2つの独占権、つまり複写権と公に展示する権利に関する審理を行なった。

事実の背景および訴訟の背景  

  ケリーによると、被告アリバは、ユーザーがインターネットから画像を検索し、ダウンロードすることを可能にする「画像検索エンジン」を作動させた。この機能を提供するために、アリバは、インターネット上で、画像を検索しながらインデックスをつけていくコンピュータープログラムを開発した。このプログラムは、次に、検索したフルサイズの画像のコピーをアリバのサーバーにダウンロードし、サムネールを作成する。サムネールの作成が完了すると、プログラムはフルサイズのオリジナル画像をサーバーから削除する。

  アリバは、アリバの表示フォーマットを数回にわたり変更している。検索クエーリーをかけると、検索エンジンは、「リザルト」ページを作成し、多くのサムネール画像がリストアップされる。これらの画像をユーザーがダブルクリックすると、それに対応するフルサイズ画像が表示される。1999年1月から1999年6月までは、フルサイズ画像は、「インラインリンキング」方式により作成された。この方式では、元のウェブサイトからフルサイズ画像を検索し、それをアリバのウェブページに表示する。1999年7月から2000年8月以後しばらくの間は、リザルトページには、サムネールと共に、「ソース」リンクと「ディテール」リンクが表示された。「ディテール」リンクは、サムネール画像とオリジナルサイトへのリンクを含む個別のスクリーンを作り出す。「ソース」リンクをクリックすると、アリバのページの上部に2つの新たなウィンドウが現れる。上部のウィンドウには、オリジナルのウェブサイトからのフルサイズ画像が出てくる。その下のウィンドウには、フルサイズ画像のあるオリジナルのウェブページが表示される。フレーミングと呼ばれるこのテクニックにより、オリジナル画像が、アリバのサイトのフレームに取り込まれて表示される。 現在では、サムネールをユーザーがクリックすると、ユーザーは、「アウトライン」リンク②を経由して、オリジナルサイトに送られる。

  アリバの検索機能は、ケリーが著作権を保持する35枚の写真をアリバのデータベースにコピーした。ケリーは、アリバのサムネールおよびアリバのインラインリンクとフレーミングリンクに著作権侵害があるとしてアリバを告訴した。地方裁判所は、アリバのサムネールおよびフルサイズ画像の利用は、いずれも公正使用であると裁定した。③ ケリーは、第9巡回控訴裁判所に控訴した。

第9巡回控訴裁判所の判決

  控訴審で、第9巡回控訴裁判所は、アリバの検索エンジンによるサムネール作成のための画像の複写とサムネールの表示は公正使用である、との地方裁判所の裁定を支持した。しかし、第9巡回控訴裁判所は、アリバのインラインリンキングによる大きなサイズの画像の表示も公正な利用であるとした地方裁判所の裁定を覆した。④

サムネール

  著作権保持者は、作品の複写に関して独占権を有する。⑤ 複写による著作権侵害を立証するためには、原告は、著作権を保持していること、および被告によるコピー行為の事実を示さなければならない。「ケリーが画像の著作権を保持していること、およびアリバがこれらの画像をコピーしたことに関しては議論をはさむ余地はない。従って」、裁判所は、「ケリーが、表面上は一見証拠の確かな著作権侵害事件であることを立証した」との裁定を下した。⑥

  しかしながら、著作権侵害の主張には、公正使用の例外などを含む一定の法に定められた例外が適用される。⑦ この例外により、「裁判所には、著作権法が、擁護する真の創造性を抑制する結果を招くような場合に、著作権法の厳格な適用を避けることが許されている」。⑧

  アリバによるケリーの画像の利用が公正使用に当たるか否かを判断するために、裁判所は以下の4つの要素を比較検討した。その要素とは、1)商業目的なのか、または非営利の教育が目的なのか等の利用の目的と性格、⑨ 2)著作権のある作品の性質、3)全体として著作権のある作品に関連して利用された部分の量と重要度、4)著作権のある作品の使用に対して及ぼす潜在市場または価値に対しての影響、である。⑩

  当件に第1の要素を適用した結果、裁判所は、「新たな作品による変形が大きくなればなるほど、商業価値などの他の要素の重要性が低下する」⑪ とした上で、サムネールは、十分に変形されたものであると結論付けた。理由は、サムネールが、「サイズもかなり縮小され、解像度も相当に低いため、ケリーの原画像とは機能がまったく異なったものになっている」⑫ からである。さらに、裁判所は、「拡大することにより鮮明度を失うため、絵画的または芸術的な目的にアリバのサムネールを利用することは」考えられない、との判断を下した。⑬ かくして、公正利用の第1要素に関しては、アリバに有利な判断が下された。

  裁判所は、第2の要素、つまり著作権のある作品の性質に関して、ケリーの写真が本質的に創造性のあるものであることから、若干ではあるもののケリーに有利な判断を下した。⑭ 第3の要素、つまり利用された部分の量と重要度に関しては、アリバが画像全体をコピーしてはいるものの、双方に有利・不利のいずれの判断も下さなかった。⑮

  最後に、第4の要素、つまり著作権のある作品の使用が潜在市場または価値に対して及ぼす影響に関して、裁判所は、アリバに有利な判断を下した。第4の要素に関して、裁判所には、「被疑者の特定行為に起因する市場における被害の範囲のみならず、被告により無制限かつ広範囲に行なわれたそのような行動が、オリジナルに対する潜在市場に重大な悪影響を及ぼすか否か」を検討することが求められた。⑯ 裁判所は、アリバによるサムネールの作成と利用は、ケリーの画像の市場または価値に害をもたらさない、との判断に至った。⑰ かくして、最終的に、裁判所は、サムネールの表示は公正利用である、との裁定を下した。

_________________________________

① 336 F .3d 811 (9th Cir. 2003)

② アリバ・ソフトは、その後、この名称を「ディットー・コム」(Ditto.com)に変更した。

③ Kelly v. Arriba Soft Corp.(ケリー対アリバ・ソフト・コープ訴訟), 77 F. Supp. 2d 1116 (C.D. Cal. 1999)

④ 第9巡回控訴裁判所により後に撤回された判決の中では、裁判所は、ケリーの作品の大きなサイズの画像のインライン表示は、公正使用に当たらず、したがって侵害行為である、との裁定を下した。Kelly v. Arriba Soft Corp.(ケリー対アリバ・ソフト・コープ訴訟)、280 F.3d 934 (9th Cir. 2002) 参照。新たな判決で、裁判所は、当事者によるインラインリンキングの問題提起の仕方が不適切であり、従って地方裁判所が裁決するべきではなかった、と結論付けた。

⑤ 17 U.S.C. §106参照

⑥ Kelly(ケリー) 336 F.3d at 8177 17 U.S.C. §107

⑧ Dr. Seuss Enters. (スース・エンタース博士), L.P. v. Penguin Books USA, Inc. (LP対ペンギンブック USA訴訟) 109 F.3d 1394, 1399 (9th Cir. 1997)

⑨ 最高裁判所は、「当調査の主たる目的は、新たな作品が単にオリジナルの創作のオブジェクトを、元の表現、意味、またはメッセージを変更して、さらなる目的または異なる性格に置き換えようとするものなのか、またはなにか新たなものを追加しようとするものなのか、を検討することにある。言い換えれば、新たな作品の変形の度合いを検討することにある」との判断を示した。Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.(キャンベル対エイカフーローズ・ミュージック訴訟), 510 U.S. 569, 579 (1994)

⑩ 17 U.S.C. § 107

⑪ Kelly(ケリー), 330 F.3d at 818 n. 14, Campbell(キャンベル), 510 U.S. at 579を 引用。

⑫ Kelly(ケリー), 330 F.3d at 818. ケリーの画像は、絵画的な目的に用いられる芸術作品であり、芸術的にアメリカ西部の風景を描いた作品であるのに対して、アリバがサムネールの中でケリーの画像を利用したのは、芸術的な目的とは無関係である。アリバの検索エンジン機能は、索引ツールであり、インターネット上の画像と、それに関連するウェブサイトへのアクセスを容易にすることにある。

⑬ Id. at 819

⑭ Id. at 820 参照

⑮ Id 参照。 大量コピーが、それ自体で公正使用を否定するものではないものの、作品全体をコピーすることは、公正使用の裁定に不利に作用する。しかしながら、コピーの許容範囲は、利用の目的と性格により異なってくる。「2次ユーザーが、自己の利用目的に必要な範囲に限定してコピーをする場合には、この要素は、2次ユーザーに不利な作用を及ぼさない」 Id. at 821。この原則を適用して、裁判所は、アリバが、画像の1部のみをコピーした場合、その画像を特定することがより困難になり、それにより画像検索エンジンの有用性が低下することになる、との判断を下した。従って、裁判所は、画像全体をコピーすることは妥当である、との結論を下した。

⑯ Id. at 821, Campbell(キャンベル、) 510 U.S. at 590 を引用。 M. Nimmer & D. Nimmer, NIMMER ON COPYRIGHT(M・ニンマー、D・ニンマ―著 「ニマーの著作権法」) § 13.05[A][4], at 13-102.61 (1993) も参照。

⑰ Kelly(ケリー), 330 F.3d at id。 裁判所は、「アリバがケリーの画像を利用したことにより、ケリーのフルサイズ画像の販売または使用許可付与の能力に害を及ぼすことは考えられない。アリバは、第三者にアリバのサムネールを販売または使用許可の付与を行なっていない。サムネールをダウンロードしても、サムネールの解像度が低いため、サムネールによるフルサイズ画像の販売が可能とは思われない。ケリーのウェブサイトを訪れない限り、鮮明なフルサイズ画像を見たり、創ったり、または販売することは不可能である」ことを強調した。Id. at 821-822

*このレポートはアメリカ大使館レファレンス資料室がギャラリーウォッチの許可を得て、翻訳しています。

出典:
"Fair Use" on the Internet: Copyright's Reproduction and Public Display Rights
CRS Report for Congress
Congressional Research Service, The Library of Congress

[在日米国大使館のサイトへ掲載した日付:5/9/2007]

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