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銃規制の議論では犯罪および死者数に関する統計が頻繁に使われる。だが最近の調査によれば、既存の統計で銃器と暴力の間に何らかの因果関係があるかどうかを明確に判断できるような包括的、適時または正確なデータを提供するものはない。 4例えば、米国で半自動式攻撃用武器の拡散禁止策が取られた1994年から2004年の10年間にこれらの銃器に撃たれて死亡した人の数が減少したかどうかを示すデータはない。 5以下に挙げるのは次の題材に関するデータである。(1)米国に存在する銃器の数、(2)銃器による殺人事件、(3)銃器による死には至らない被害、(4)銃による暴力と青少年、(5)銃器による死亡率、(6)自己防衛目的の銃器使用、(7)娯楽目的の銃器の使用。以下のデータの中には10年以上前のものもあるが、すべて入手できる中で最新のものである。
国立司法研究所(National Institute of Justice:NIJ)の全国調査によれば、1994年時点で、4400万人の米国人、全世帯数の35%が1億9200万丁の銃器を所有しており、うち6500万丁は拳銃だった。 6報告によると、銃器保持者のうち74%は2丁以上を所有していた。 7当時のアルコール・たばこ・火器局(ATF)によれば、1996年末時点で米国において、2億4200万丁の銃器が民間人に販売可能、または民間人により所有されていた。 8うち約7200万丁が拳銃(その大部分はピストル、リボルバーまたはデリンジャー・ピストル)、7600万丁がライフル、6400万丁がショットガンであった。 92000年には銃器の総数は2億5900万丁に増加し、うち拳銃とライフルがそれぞれ9200万丁、ショットガンは7500万丁であった。10
米国で販売可能な銃器のほとんどは国内で製造されている。近年は拳銃が年間100万丁から200万丁、ライフルが約100万丁、ショットガンは100万丁弱が生産されている。 11年間の輸入量はこれをはるかに下回っており、拳銃が20万丁から40万丁、ライフルが20万丁、ショットガンが10万丁から20万丁となっている。 12銃器の小売価格には大きな幅があり、下は75ドル以下の安価な小口径の拳銃から、上は1500ドルを超えるより高性能な規格品のライフルやショットガンまでさまざまである。 13個人が所有している、あるいは販売可能な「攻撃用武器」の数についてはデータがないが、ある調査では1994年に150万丁が個人により所有されていたと推定されている。14
各州・地方の警察がFBIに提出し、毎年Uniform Crime Reportsで公表されている報告によれば、凶悪犯罪率は1981年から2004年にかけて減少している。だが殺人件数および銃器を用いた殺人の割合は、近年ともに増加している。1993年から1999年にかけて、銃器による殺人件数は平均で年率11%近く減少し、通算では49%の減少となった。だが2000年から2003年にかけては、銃器による殺人の報告件数は、次のように増加した。
- 2000年 増加率2%(8661件)
- 2001年 増加率2.6%(8890件)
- 2002年 増加率7.2%(9528件)
- 2003年 増加率1.4%(9659件)15
2004年には銃器による殺人件数は3.2%減少し9326件となった。 162005年には再び増加に転じ、速報値で7.7%増の1万100件に達した。17
全米の犯罪データを提供してくれるもうひとつの主要な情報源に、国勢調査局(Bureau of the Census)が実施し司法統計局(Bureau of Justice Statistics:BJS)が公表しているNational Crime Victimization Survey (NCVS)がある。NCVSのデータベースは、被害者の報告に基づき、犯罪者が用いた武器に関する情報を提供している。2003暦年の調査回答データに基づき、BJSは、全米で540万件の凶悪犯罪(レイプあるいは性的暴行、強盗、加重暴行および単純暴行)が起きたと推計している。そのうち犯罪者が凶器を使用したのは120万件で、銃器が使われたケースは全体の約7%に当たる36万7000件とされている。18
青少年による犯罪の統計は銃規制議論にしばしば用いられてきた。14歳から24歳までの年齢層による銃器を用いた殺人の年間発生件数は、1985年から1993年にかけて急増した。それ以降は減少に転じたが、1985年の水準には戻っていない。BJSによれば、14歳から17歳までの青少年による銃器を用いた殺人は、1985年から1993年にかけて294%増加し、855件から3371件となったが、その後1993年から2000年にかけて68%減少し1084件となった。18歳から24歳までの銃器を用いた殺人は、1985年から1993年にかけて142%増加し、3374件から8171件となった。この数は1993年から1999年にかけて39%減少し4988件となったが、2000年には前年比3%増の5162件となった。 19青少年に関する2001年以降の統計はまだ公表されていない。学校での銃暴力は統計的にはまれであるものの、司法省の調査によれば12歳から19歳までの学生のうち12.7%が銃器を学校に携行した生徒を知っていると回答している。20
銃器による死亡者数は1993年から2001年にかけて一貫して減少した。銃器による死亡者数に関する全米のデータの情報源は、国立健康統計センター(National Center for Health Statistics)が毎年刊行しているVital Statisticsである。各州で検視官により報告される銃器による死亡は、殺人および法的介入21 、自殺、事故、状況不明の4種類に分類されている。この報告によれば、2002年には銃器による死亡件数は3万242件にのぼった。うち1万2129件は殺人または法的介入によるもの、1万7108件は自殺、762件は過失(事故)による発砲、243件は原因不明となっている。 221993年から2000年にかけ、銃器による死亡件数は年平均5%近く減少し、通算では28%近い減少となった。2001年には銃器による死亡件数は2000年比で3%増加し、2002年には前年比でさらに2%増加した。また2002年には未成年(18歳未満)の死亡件数のうち1443件は銃器によるとされている。うち879件は殺人または法的介入、423件は自殺、115件は過失、26件は原因不明となっている。1993年から2001年にかけ銃器による未成年の死亡件数は年平均10%減少し、通算では56%の減少を示した。2002年度は2001年比で1%以下の微増となった。23
BJSによれば、NCVSの1987年から1992年までのデータから、この期間毎年、凶悪犯罪被害者総数の1%に当たる約6万2200人が保身目的で銃器を使用し、2万人が財産を守るために銃器を使用したことが分かっている。24 この調査内容には警察官や武装警備員など自己防衛を仕事としている人も含まれている可能性がある。 25保身目的の銃器使用に関するもうひとつの情報源としては1993年春にフロリダ州立大学のゲーリー・クレック教授(犯罪学)が実施したNational Self Defense Surveyがある。クレック教授は4978世帯からの回答に基づき、1988年から1993年の間に保身目的で拳銃が使用されたのは年間210万回、その他の銃も含めた銃器全般は年間約250万回保身に使われたと推計している。26
これらの数値にはなぜこれほどの幅があるのだろうか。法執行機関は民間人が自分自身や財産を襲撃から防衛するため銃器を使用する回数について情報を収集していない。そのようなデータは世帯調査を通じて収集されてきた。従来の統計に矛盾があるのは、方法論的な要因が理由の一端である可能性がある。つまり前述のような刑事司法統計は報告された事例に基づいており、必ずしもある出来事が実際に起こった回数を示すものではないということだ。被害者や加害者は調査員に事実を率直に話したがらない場合がある。そのため、事件が発生した回数は推計はできても、銃器が保身に使われる回数のような統計がどの程度正確なのか、断言するのは難しい。このような理由で刑事司法統計は方法が異なれば結果にも幅が出ることが多い。
サンプル数が少ない母集団から統計学的に意味のある結果を導き出すのは難しいため、聞き取り調査には限界がある。例えば事件の発生率が低い可能性があることや聞き取り調査固有の限界を考えると、National Self Defense Surveyのサンプル数は少な過ぎた可能性がある。
NIJによれば、1994年に銃器保有の動機として最も多く挙げられたのがレクリエーションだった。 27同年に米国で狩猟をする人と射撃をする人は、それぞれ約1500万人いた。これは米国の銃器所有者のそれぞれ35%に当たった。 28さらに最近では、2003年の有料狩猟ライセンス保持者は1470万人以上に上ったと米国魚類野生生物局(U.S. Fish and Wildlife Service)が報告しており29 、また全米射撃基金(National Shooting Sports Foundation)によれば、同年に約1520万人が銃器を使った狩猟を行い、1980万人近くがターゲット射撃をしたとされている。30



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